下のデータは、日本・アメリカ・スウェーデンにおける80歳時点での平均残存歯数です。スウェーデンの人は80歳になっても25本の歯が残っているのに対し、日本人はわずか8本しか自分の歯が残っていません。それだけ多くの方が、虫歯や歯周病で多くの歯を失っているということです。
これほどまでに差があると、「日本人はもともと歯が弱いのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような事実はありません。では、これだけの差が生まれる原因はどこにあるのでしょうか?
下のデータは、日本・アメリカ・スウェーデンにおける定期検診の受診率です。スウェーデンでは90%、アメリカでは80%もの人が定期検診を受けているのに対し、日本人はわずかに2%。100人に2人しか定期検診を受診していません。
80歳時点での平均残存歯数に大きな差が生まれる理由は、定期検診の受診率の差、もっと言えば、予防意識の違いにあると言わざるを得ません。人間ドックや婦人科検診を受けるのと同様に、ぜひお口の定期検診も習慣にしていただきたいと思います。
定期検診で虫歯・歯周病知らずの口腔内環境を
他の記事で、歯磨きを中心とした毎日のホームケアの重要性についてご説明しました。しかし、どれだけホームケアに力を入れていても、虫歯・歯周病を完全に予防することはできません。これは、歯ブラシやデンタルフロスだけでは口腔内のプラークをすみずみまで除去できないからです。歯と歯の間や歯周ポケットの内部、奥歯の後ろ側などは歯ブラシが届きにくく、プラークが残ってしまいます。残ったプラークは、やがて「バイオフィルム」という細菌の塊となり、虫歯や歯周病の原因となります。プラークがバイオフィルムになってしまったら、もはや歯磨きでは取り除くことができないため、歯科医院で取り除いてもらうしかありません。
定期検診・メンテナンスで行うこと
定期検診・メンテナンスで行う一般的な内容をご紹介します。
基本的に、患者様の口腔内の状況を把握し、ホームケアでは取り除けない汚れを除去し、毎日の歯磨きや生活習慣についてアドバイスを行い、今後のメンテナンスプログラムを立てていきます。
虫歯・歯周病チェック
虫歯や歯周病にかかっていないか確認します。もしかかっている場合は、初期のうちに治療します。
ブラッシング指導
ご自宅でしっかりと歯磨きができているか確認します。より効果的なケアができるよう、正しい磨き方を指導します。
PMTC
歯科衛生士が専門機器を使って行うクリーニングです。歯面だけでなく歯周ポケットの内部まで歯垢・バイオフィルムを徹底的に除去します。
フッ素塗布
フッ素には、虫歯菌が出す酸に強い歯質をつくる働きや歯の再石灰化を促す働きがあります。特にお子様の虫歯予防に効果的です。
生活習慣指導
現在の生活習慣をお伺いし、改善ポイントをアドバイスします。食生活の改善を中心に、虫歯・歯周病にかかりにくい生活習慣をつくっていきます。
虫歯・歯周病予防を徹底するためには、ホームケアに加え歯科医院での定期検診が不可欠です。「ホームケアではカバーできないところをプロケアで補う」という意識で、ぜひ予防に取り組んでみてください。